皆さんの肩はどのくらい動きますか?

みなさんは自分の肩関節がどの程度動くかを知っていますか?

肩関節は屈曲・伸展・外転・内転・外旋・内旋・水平屈曲・水平伸展と多方向に動く3軸関節です。

今回紹介したい文献はShoulder range of movement in the general population:age and gender stratified normative data using a community-based cohortという演題で掲載されていたものです。20歳以上の肩の症状を訴えていない方を対象にして肩関節の「屈曲・外転・外旋」の自動運動による可動域の平均値及び中央値を抽出した研究報告となります。

 

参考として日本リハビリテーション医学会のホームページでの参考可動域として記載されている角度は

屈曲:0~180°

外転:0~180°

外旋:0~60°となっており、非常に広い可動域を有しています。

参考可動域を知ったうえで今回の結果を見てみましょう!結果は以下のようになっておりました。

 

 

※屈曲自動運動

※外転自動運動

※外旋自動運動

 

自動屈曲の全体平均値

男性 左肩:159.9° 右肩:161.5°

女性 左肩:151.7° 右肩:158.5°

自動外転の全体平均値

男性 左肩:149.7° 右肩:151.5°

女性 左肩:147.7° 右肩:149.7°

自動外旋の全体平均値

男性 左肩:55.0° 右肩:56.8

女性 左肩:58.5° 右肩:60.9°

 

参考可動域の最大値に比べると平均可動域は大幅に低値を示しました。また、年齢が高齢になるにつれて可動域は低下していくことが結果として分かります。

今回の結果から、健常の肩関節であっても参考可動域の最大可動域まで動かすことは容易ではないことが考えられます。これがもし肩関節に障害がある方であればなおさら可動域は低下していくでしょう。

この結果が全てではないですが、肩関節の自動運動は参考可動域程動かないことを私たちは一つの知識として知っておく必要があるかと思います。

人には人それぞれのEnd Rangeがあるため、評価を行いその人にあった目標設定をしてリハビリに臨む必要があるかと思います。

引用文献

Shoulder range of movement in the general population:age and gender stratified normative data using a community-based cohort

日本リハビリテーション医学会 参考可動域

外来部門責任者

池田純平