臨床につなげる基礎学問 Vol.2 足のアーチはありますか?

みなさんは、しっかりと足のアーチはありますか?

足のアーチは出生時には低く未形成ですが、成長とともに活発な筋活動と体重増加に対する抗重力作用として、高さを増して完成します。アーチがあることによって、力学的に合理的な荷重支持を行っており、足底にかかる体重を分散されるようになっています。

安静立位では、体重の50%ずつが等しく両足の距骨にかかります。距骨はこの50%の比率を、踵骨に25%、母趾球と小趾球に25%で分配されます。

 

足のアーチは、骨、関節、靭帯および筋の要素が組み合わさって構成されており、内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチの3種類があります。

 

<内側縦アーチ>

骨:踵骨-距骨-舟状骨-内側楔状骨-第1中足骨

筋:後脛骨筋(舟状骨を引く)

前脛骨筋(第1中足骨底を引く)

長母趾屈筋および長趾屈筋(第1-5趾を引くと同時に距骨と踵骨を安定させる)

母趾外転筋(第1中足骨と距骨を引く)

役割:いわゆる土踏まずを形成し、歩行に密接な関係を持つ

 

<外側縦アーチ>

骨:踵骨-立方骨-第5中足骨

筋:長腓骨筋(踵骨を持ち上げる)

短腓骨筋(長腓骨筋と同時に第5中足骨頭を引く)

小趾外転筋(第5中足骨を引く)

役割:足部のバランスと密接な関係がある

 

<横アーチ>

第1中足骨頭レベルの横アーチ:第1中足骨頭-第2-5中足骨頭(第2中足骨頭が頂点)

内側楔状骨の横アーチ:内側楔状骨-中間楔状骨-外側楔状骨-立方骨(中間楔状骨が頂点)

 

これらのアーチの内、内側縦アーチや横アーチが低下した状態を扁平足といいます。扁平足は、後脛骨筋や足筋の筋緊張の低下、靭帯の緊張低下により、下腿が内旋し、踵骨が外がえし位となった変形を指します。この扁平足の治療には、インソール療法や運動療法などが選択されますが、詳しくは次回の記事で書かせていただきます。

足のアーチをしっかりと作り、痛みの軽減や予防し、きれいな歩き方を手に入れましょう。

 

 

引用文献

基礎運動学 第6版:中村隆一、斎藤宏、長崎浩

 

外来リハビリ

理学療法士 佐々木優太