臨床につなげる基礎学問 Vol.3 扁平足を治すには

今回は前回に続き、扁平足の治療について記載したいと思います。

前回記載した通り、扁平足は内側縦アーチや横アーチが低下した状態を指します。乳幼児期では下肢筋力の未熟によるアーチの未形成、成人期では加齢によるアキレス腱の変性や体重負荷により扁平足が形成されます。

 

一般的に立位でレントゲン撮影を行い、足関節角度やアーチ効率によって扁平足の診断を行います。内側縦アーチの低下に伴い、踵骨の外反を伴う扁平足を外反扁平足と呼びます。この外反扁平足が形成されていると、裸足で立位をとった際に、後方から足部を見ると、アキレス腱が外に逃げてしまっているように見えてしまいます。

外反扁平足が形成されてしまうと、適切な踏み返しが出来なくなってしまい、膝関節に負担がかかり痛みを伴う場合もあります。また、進行すると踏み返し時に足部内側に負荷がかかるようになり、母趾の内捻を伴う外反母趾を助長してしまう場合もあります。

 

扁平足を治療するためには、装具療法と運動療法が選択されることが多くなっております。

 

<装具療法>

装具療法では、インソール(足底板)が選択されます。

インソールを挿入することで、扁平足では内側縦アーチの補助をし、外反扁平足の場合には、加えて前額面上の踵骨のアライメントを補正します。

回内・回外の運動方向に関与する距骨下関節(踵骨と距骨により構成)を補正することにより、前額面上のアライメントを整え、その後矢状面上の距腿関節の運動である踏み返しの練習へとつなげていきます。

装具療法を行う場合には、運動療法との併用が基本となってきます。

 

<運動療法>

運動療法の種類は多岐にわたりますが、基本はストレッチ、足部の筋力強化、ウェイトコントロールが主となります。

ストレッチでは、下腿三頭筋とアキレス腱の柔軟性の向上を図ります。

足部の筋力強化では、後脛骨筋や足趾筋群の強化を図り、アーチを形成する筋力をつけます。

扁平足は筋力で体重負荷を支えることができない場合に生じるため、ウェイトコントロールのための運動も必要となります。

 

扁平足は幼少期より形成されている場合や、中年期以降に形成される場合もあり、早期に発見することが重要であると思います。セルフケアにより改善を図ることが可能な場合も多いため、自身やご家族の足の状態を観察してみてはいかがでしょうか。

 

引用文献

基礎運動学 第6版:中村隆一、斎藤宏、長崎浩

 

外来リハビリ

理学療法士 佐々木優太