腰痛に対しての物理療法の効果とは?

腰痛は一生の間に80%以上の人たちが悩ませる病である。

その経済損失は年間で約3兆円とも言われています。

ただ、一言に腰痛と言っても腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、変形性腰椎症など病名は様々であり、その症状も同じではありません。

腰痛に対しての治療としては一人一人に合った治療を選択していくことが大事であると私は考えますが、今回はクリニックなどで良く行われている牽引や電気、温熱などの物理療法の効果についてお話ししていきたいと思います。

 

物理療法とは?

水、熱、光、電気、音波、マッサージなど身体に物理的エネルギーを加えて循環の改善や疼痛の緩和を目的として治療方法です。

当院で行える機械としてマイクロ波、キセノン光線、ホットパック、牽引などがあります。

マイクロ波やホットパックなどの温熱療法では幹部の循環の改善や痛みの軽減を目的に行います。

キセノン光線などの光線療法では、痛みの軽減や循環の改善、殺菌、創傷治癒の促進を目的に行います。

牽引は頸椎や腰椎などを牽引することによって神経の圧迫の軽減や筋肉・靭帯の伸張を目的に行います。

 

現在医療機器メーカーから様々な物理療法機器が出されていますが、腰痛に対しての効果はどうなのでしょうか?

今回は日本整形外科学会と腰痛学会が監修している腰痛治療ガイドラインから腰痛に対しての物療の効果をお伝えしていきます。

 

腰痛治療ガイドラインによる物理療法及び装具療法は有用か?というquestionに対して牽引療法、超音波療法、電気療法、温熱療法のどれもが現状、エビデンスの強さは「C」、推奨度は「2.行うことを弱く推奨する」であった。

 

なぜこのような結果になったかというと、今回対象となっている物理療法機器に対しての研究報告は推奨するのに十分なエビデンスを提供出来ていないためです。

 

私個人としては、前述したように腰痛はその人に合った治療方法があると思います。そのため物療を行って良くなる人や物療と併用して治療を行うことで腰痛が改善される人も多いはずです。しかし、現状での物療の効果は疑問が残るところではある為、医療機器メーカーの研究が今後進んでいくことを望んでいます。

次回は腰痛に対しての運動療法の効果について書いていきたいと思います。

 

外来責任者

池田 純平

 

<引用文献>

・腰痛治療ガイドライン2019