インソール治療の説明

昭和大学リハビリテーション科では、前身の理学診療科時代から、障がい者の装具治療を行ってきました。その中で、小児のインソール治療を行ってきました。もともとは、昭和大学リハビリテーション科水間正澄前教授が行っていたものです。30年以上にわたり、症例も7000例を超えています。

足部変形には様々なものがありますが、主な対象は外反偏平足です。一般のお子さんだけでなく、知的障害やダウン症候群のお子さんなどに数多くのインソールを作製してきました。作製時期は、立位が始まる時期(1才頃)からです。

「東京リハビリ整形外科クリニックおおた」の開業に合わせて、当院でもインソールの作製を行っています。適応と治療についてお話します。

インソール(小児用)

  • どのようなお子さんにインソールが必要でしょうか?
  • 当院で行なっているインソール治療 大人のインソールとどこが違うのですか?
  • インソールの作製方法は?
  • インソール治療の比較
  • インソールの金額は?利用できる制度は?
  • ダウン症候群のインソールの適応は?
  • インソールの使い方 インソールを作ったら、走りましょう!
  • ハイカットシューズは、いつまで必要ですか?
  • 外反偏平足の考え方
  • インソール作製を希望される患者様へ

 

どのようなお子さんにインソールが必要でしょうか?

足部の変形には様々なものがあります。尖足、内反足、凹足、外反偏平足…

インソールの主な適応は、外反偏平足が多いです。

こどもの外反偏平足は、立位時に踵骨のねじれ(踵骨外反) を伴うことがあります。足部の形状、踵骨に合わせたインソールが必要です。ダウン症候群のような染色体異常のお子さんは、低緊張であることが知られています。立位時に外反偏平足になることがあります。

インソール作製は、各年齢に適応があります。踵骨の成長を考慮すると、なるべく早期が望ましいと考えられます。我々は、歩き始める1歳頃から作製することもあります。

当院で行なっているインソール治療 大人のインソールとどこが違うのですか?

足の形状は、個人によって違いがあるので、診察とレントゲン検査で足部の状態を評価することが必要です。インソールは特に踵骨の形状に合わせて作製します。

小児期の外反偏平足は、踵骨の落ち込み(踵骨外反) を伴うことがあります。その場合、踵骨内側を持ち上げて、内反を矯正します。その後に、内側縦アーチを矯正します。

正確に矯正するためには、足部の形状に合わせて、数ミリ単位で矯正することが必要です。

一般的なインソールは、内側縦アーチ(土踏まずの部分)に合わせて作製します。オーダーメイドではないので、既成のインソールを試して、適合しているものを選ぶことになります。

インソールの作製方法は?

インソールは足部(主に踵骨)の形に合わせて作製します。

義肢装具士が、ギプスや特殊なスポンジなどで足の形をとって採型します。義肢装具士は国家資格です。(採型)

義肢装具士は、それを持ち帰って、石膏で陽性モデルを作ります。出来上がった足にあわせて、インソールを作製します。

出来上がったインソールを、足に合わせて、適合を確認します。(仮あわせ)

適合を修正して、完成になります。

各自の足の形(特に踵骨の形状)に、適合したインソールを作製することが必要です。

 

インソール治療の比較

当院で行なっているインソール 一般的なインソール
踵骨の形状に合わせる

内側アーチに合わせる

補高∔前足部荷重

対象:小児期(成長期)

目的:動作の矯正Dynamic insole

踵骨の変形の予防Static insole

作製には採型が必要

医療保険、身障手帳

内側アーチに合わせる

対象:成人

目的動作の矯正

採型は不要

 

インソールの金額は?利用できる制度は?

小さな装具ですが、高価なものです。

1 医療保険で作製する場合、完成後に医師が装具証明書をお書きします。(装具証明書は費用はかかりません)完成時に費用を負担していただきます。実費で約37000円かかります。
医療保険のファンドで異なりますが、7割が支給されます。
乳児医療が適応される場合は、さらに3割が支給されます。(合計で10割)ただし、支給までは時間がかかります。

2 身体障害者手帳を利用する場合は、まず福祉事務所に申請して、許可がおりてから作製することになります。
費用負担は所得によって差があります。

ダウン症候群のインソールの適応は?

ダウン症候群のような染色体異常のお子さんは、一般的に骨関節が柔らかく(低緊張)で、関節が柔らかい(関節弛緩)ことが知られています。

これはあくまで身体的特徴です。その特徴をふまえて、身体能力を向上(促通)させることが必要です。立位で、踵骨がつぶれていることがあります。

(踵骨外反) その場合、足部の形状(主に踵骨の幅と厚さ)に合わせ矯正します。成長とともに作り変えていきます。幼少期や、体重の多いお子さんは、足部を保護するために、ハイカットシューズを用いることがあります。

インソールの使い方 インソールを作ったら、走りましょう!

インソールを装着して、立位をとります。補高しているので、前足部に荷重した姿勢になります。

次に膝を軽く曲げた姿勢をとります。このときは、骨盤を前傾し、腰椎を前わんした姿勢をとるようにします。
この姿勢は、走ることに適した身体バランスです。インソールを作ったら、走りましょう。
走ることで、身体能力を向上させることが目的です。インソールを使いこなすためには、重心を下げて骨盤前傾を保つだけの体幹と殿筋の筋力が必要です。

ハイカットシューズは、いつまで必要ですか?

足部の変形(内反変形、高度の外反変形など)のある場合は、足関節を保護するためにハイカットシューズが必要です。

ハイカットシューズでは足関節を曲げることが困難であり、膝は過伸展します。重心が高く、棒のような歩き方になります。走ることは困難です。「いかにも障がい児にみえる」ような歩き方になるかもしれません。

専門医に足部の状態を診てもらってください。足関節の変形が矯正されれば、運動能力を上げるために、足と膝を曲げることができるローカットシューズをはくことができるかもしれません。
(ハイカットシューズを卒業する!)

外反偏平足の考え方

外反偏平足は体重との関連があるといわれています。肥満のお子さんに、偏平足が見られることがあります。

体重が増える時期に、偏平足が悪化することがあります。

体重10kg小児の場合、1kgの体重増加は、体重60kgの成人の6kgの体重増加に相当します。

肥満の治療は、食事、睡眠、運動の生活指導が大切です。

インソールは走ることを目的としています。運動量を確保する目的で応用が可能です。体重が増えると足部に負担がかかり、痛みを生じるリスクがあります。

インソール治療は、早い時期、体重が軽い時期に行うと効果的です。

インソール作製を希望される患者様へ

• インソール作製を希望される場合は、いずれかの装具診を受診してください。(2,3は紹介状が必要です)

1 当院金曜日午後

2 昭和大学東病院月曜日午後(第2.3.4.5)

3 昭和大学藤が丘リハビリ病院木曜日午後